後立山(長野/富山) 船越ノ頭(2612m)、小蓮華山(2766m)、三国境(2751m)、白馬岳(2932.3m) 2023年8月5日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 0:40 蓮華温泉駐車場−−2:02 天狗の庭−−2:51 白馬大池−−3:28 船越ノ頭−−4:06 小蓮華山−−4:38 三国境(山頂)−−5:16 白馬岳 5:37−−6:17 三国境(分岐)−−6:52 小蓮華山−−7:41 船越ノ頭 7:49−−8:23 白馬大池−−9:05 天狗の庭−−9:51 水浴び 9:56−−10:04 蓮華温泉駐車場

場所長野県北安曇郡白馬村/富山県下新川郡朝日町/新潟県糸魚川市
年月日2023年8月5日 日帰り
天候快晴
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場蓮華温泉に駐車場あり。ただし収容台数が少ない(50台程度?)ので週末にはすぐに満車になる
登山道の有無あり
籔の有無無し
危険個所の有無無し
山頂の展望各山頂とも晴れれば大展望
GPSトラックログ
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コメント先週に引き続いて高山植物開花ピークを期待して白馬岳へ。今回は蓮華温泉起点としていつもの大雪渓とは別ルート。いつもとは違う種類の花が見られる。既に夏の花のピークは過ぎて秋の始まりの花に切り替わりつつあった。白馬大池周辺の広大なお花畑はチングルマはほぼ終わってタテヤマリンドウが無数に咲いていた


白馬大池周辺のお花畑。チングルマのピークは過ぎてタテヤマリンドウが花盛りだった


蓮華温泉駐車場 蓮華温泉建物
蓮華温泉裏の登山口。右へ この標識が数か所にある
天狗の庭。ここだけ森林限界のような植生 白馬大池山荘
夜露に濡れたダケカンバがはみ出す 白馬市街地の町明かり
船越ノ頭。日本山名事典とは場所が異なる 小蓮華山山頂
富山県側市街地の夜景 白馬岳山頂に光が見えた
東を振り返る。日の出は間近 三国境山頂
三国境付近はコマクサが見られる 縦走路へ向かう
縦走路に合流 ヨツバシオガマ
ミヤマダイコンソウ ミヤマアズマギク
ミヤマクワガタの花と株
ヒメクワガタ シラタマノキの実
妙高山から日の出。今は午前5時近い 標高2820m付近。山頂は隠れて見えない
毛があるのでチシマギキョウ 標高2850m付近
ホソバツメクサ イワツメクサ
標高2900m付近。山頂の人影が見える 白馬岳山頂。今週も混雑している
白馬岳から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
白馬岳から見た南アルプス(クリックで拡大)
白馬岳から見た北アルプス南部
白馬岳から見た立山〜剱岳
山頂のシコタンハコベ 山頂のイブキジャコウソウ
山頂のタカネイブキボウフウ 山頂のミヤマオトコヨモギ
白馬大雪渓 タカネシオガマ
タカネツメクサ 毛が無いのでイワギキョウ
ミヤマキンバイ ムシトリスミレ
コケモモ イブキトラノオ?
シコタンソウの花と株
毛の生え方からはミヤマコウゾリナっぽい。カンチコウゾリナとの見分け方がまだイマイチはっきりしない
タカネヤハズハハコ コマクサ
ミヤマアキノキリンソウ。今回見た花では最も数が多かった 小蓮華山に続く稜線
ミヤマダイモンジソウ ウサギギク
花は閉じているが葉からミヤマリンドウに違いなし クモマミミナグサ
オトギリソウ ミヤマアカバナかシロウマアカバナ
標高2750m付近
三国境付近のコマクサ 三国境
三国境から見た小蓮華山 三国境付近のチングルマ
三国境付近の雪渓 鞍部から登り返し
岩の色が茶色/白ではっきりと分かれている 小蓮華山へ登り返す
コゴメグサがたくさん咲いていた イワオウギ
ヤマハハコ 小蓮華山山頂
小蓮華山から見た西〜北〜東の展望(クリックで拡大)
ハクサンフウロの花と葉
ミヤマリンドウ。左は普通色、右は青が濃い個体
ニガナ。この標高で咲いていれば高山植物と言っていいだろう ピンボケだがミヤマキンポウゲ
エゾシオガマ ゴゼンタチバナ
標高2750m付近から見た西側の展望
ミヤマホツツジ 標高2710m付近から見た白馬大池
ミヤマダイコンソウ タカネヨモギ
ハクサンイチゲ チングルマ
アオノツガザクラ ネバリノギラン。本当に粘っていた
イブキジャコウソウ こんな小さなニガナは初めて見た
ウメバチソウ タカネナデシコ
クモマミミナグサ 白馬尻
白馬大雪渓を歩く登山者の姿
トウヤクリンドウ。開花はまだだが多数見られた タテヤマウツボグサ
ハクサンシャジン この時間は白馬岳方面への登りが多い
2612m峰 栂池自然園
2612m峰に船越ノ頭の山頂標識あり ピークにハクサンシャジンあり
2612m峰から見た西半分の展望(クリックで拡大)
2612m峰から見た東半分の展望
白馬大池方面へ下る 砂礫帯ではコマクサ登場
ミヤマダイコンソウがまだ咲き残っていた 白馬大池
リンネソウ。1つの茎に二輪の花を付けるのが特徴。ゴゼンタチバナのようにハイマツの影に群生していた
標高2470m付近 コゴメグサの大群落。小蓮華山〜白馬大池まで続く
白馬大池
白馬大池脇のお花畑に突入 辛うじて残っていたコバイケイソウ
ミヤマキンポウゲの群落 タテヤマリンドウの大群落
タテヤマリンドウの花と株。白馬大池周辺のチングルマ群落の中に混じって大群落を形成しているが、背が低いので目立たないのが残念
イワイチョウの花と株。湿った場所に生えており池や湿地の中の場合もある
イワイチョウの群落 チングルマの群落
大池山荘 シロバナニガナ
稜線を離れて蓮華温泉方面へ下る ヤマハハコ
コバノイチヤクソウの花と葉。亜高山帯の針葉樹林帯に生える。広葉樹林帯に変わったら本当に見えなくなった
マルバダケブキ ズダヤクシュ。まだ咲いていたとは驚き
ミヤマアキノキリンソウ 天狗の庭遠景
樹林の隙間から見た雪倉岳
散りかけのモミジカラマツ キヌガサソウの実
イワイチョウ(標高2150m付近) ミヤマダイモンジソウ(標高2150m付近)
標高2100m付近 ここから天狗の庭の花。ネバリノギラン
ハクサンオミナエシの花と葉
ヒメシャジンの花と株。今回のコースでは天狗の庭周辺でのみ見られる
ホツツジ 細かな種類は分からないがコゴメグサ
イワシモツケ ミヤマウイキョウ
ミネウスユキソウ タカネナデシコ
ミヤマムラサキの花と株
天狗の庭から見た雪倉岳〜朝日岳
天狗の庭の標識 タカネアオヤギソウ
ネバリノギラン 天狗の庭は空が開けている。カラマツもこんな感じ
シモツケソウ。ここまでが天狗の庭の花 アリドオシランらしい。初めて見た
カニコウモリ 噴気地帯。湯気が出ていた
ソバナ ミヤマカラマツ
アジサイ ヤマハッカ
水が流れているものでは最上部の沢。標高1630m付近 噴気地帯
この沢で水浴びした 露天風呂分岐
オオカメノキ タマガワホトトギス
どうやらオオヤマサギソウらしい。相変わらずグーグルの画像検索は非常に強力だ
登山口にある露天風呂案内図
登山口 蓮華温泉
ゲンノショウコらしい。蓮華温泉前にて 駐車場


 先週は大雪渓経由で白馬岳に登って花三昧だったが、今週も花を期待して白馬岳へ。ただし、いつもとは違う花を見るために蓮華温泉を起点として白馬大池、小蓮華山経由とした。蓮華温泉は猿倉より車での所要時間が約1時間長くなるし歩く距離も増えて山頂までの時間がかかるが、いつものコースでは見られない花のためなら問題なしだ。

 早めに出発して蓮華温泉到着は午後8時。長野市内から2時間かかるが東京に住んでいた頃と比較すれば短時間だ。蓮華温泉は単に遠いだけでなく高速道路から離れているのでさらに時間がかかる。まだ駐車場に空きはあるが半分程度埋まっている。この駐車場はスペースが広くないのですぐにいっぱいになってしまうのが欠点だが、ここは地元民の強みで夜早い時刻に到着できるので問題なし。予報では明日も好天だが日中は雷雨の可能性が高いので、いつものように夜中に登って山頂で日の出を迎え、帰りがけに花の写真撮影をしながらのんびり下る計画である。酒を飲んで寝た。

 夜中0時過ぎに起床し、朝飯を食って午前1時前に出発。この時刻はまだ上がってくる車がいる時間帯である。東京に住んでいた頃はこの時間帯だったなぁ。このルートは何度か歩いているのでライトの光だけでも問題無く歩ける。

 蓮華温泉の大きな建物を回り込んで裏手の登山道へ。右の道が登山道で次の分岐も右。その後は一本道である。最初は小さな沢がいくつかあり、最も大きな沢は水量豊富で下山時の水浴びに使えそうだ(実際に水浴びに利用した)。

 緩やかな道を上がっていくと数か所で案内標識が登場。誰かが手書きで現在地の標高を書き込んであり、この情報が最も役にたった。登山道は良く整備されて体に触れる草木は皆無だ。

 標高2050m付近で樹林帯を抜け出して開けた場所が天狗の庭。ここだけ標高2500m以上の稜線上にある高山植物が見られる特異な場所だ。ハクサンオミナエシ、ヒメシャジン、タカネナデシコ、ネバリノギラン、イワシモツケ、ミヤマウイキョウ、タカネアオヤギソウ、ミヤマムラサキ、細かな種類は分からいがコゴメグサ、ミネウスユキソウまであった。再び樹林帯に変わるとこれらの花は消えてしまう。代わりに出てくるのがコバノイチヤクソウとミヤマアキノキリンソウで、これは稜線付近までずっと続く。

 標高2150m付近で水は流れていないが樹林が開けた沢地形が現れ、モミジカラマツの小さな白い花が多数咲き乱れ、登山道脇にはイワイチョウの葉っぱがあるではないか! これは主に高所の湿地に生える花であり、こんな場所で見られるとは驚きである。ここではミヤマダイモンジソウもあった。谷地形が終わって樹林帯に戻ると再び通常の植生に戻る。

 大きめの岩(おそらく安山岩)が転がった登山道が続いて歩きにくいが、おそらく火山の影響だろう。この感じだと大雨が降ると登山道は沢に変わりそうである。

 樹林の高さが低くなってハイマツに変わると稜線は間近だ。ハイマツが切れるとチングルマを中心とする大お花畑だが、花のピークは既に過ぎていた。今年は雪解けが早かったので仕方ないだろう。それでも咲き残りがあるので帰りに撮影した。

 大池山荘前にはテントの光あり。これから向かう小蓮華山方面に光は見えず、今日は私が先頭らしい。小屋から2人ばかり光がこちらにやってきたので私に続いて白馬岳に向かうのかと思ったら、しばらくこの付近に停滞していた。もしかしたら星空観察だったのだろうか。稜線に出ると南風がやや強くなり、防寒装備として手袋、毛糸の帽子、ネックウォーマーを着用した。

 背丈に近いハイマツやダケカンバに覆われた登山道は、特にダケカンバがはみ出して夜露に濡れているので衣類が濡れてしまう。昼間には乾くからいいけど雨の時は鬱陶しいだろう。ここは刈り払わないのであろうか。ハイマツの影には2つの花がぶら下がったように下向きに咲く小さな花、リンネソウがたくさん見られた。私が良く登る山ではリンネソウはここでしか見たことがない。

 これを通過するとハイマツもダケカンバも多くが消えて主に草付きに変わる。こうなると高山植物が多くなるが、まだ真っ暗闇なので見落としが多いだろう。東側には白馬市街地の光が見えていた。

 最初の顕著なピーク(2590m峰)が日本山名事典の船越ノ頭だが、登山道はてっぺんを巻いてしまう。次の2612m峰に船越ノ頭の標識が立っており、一般的にはここを山頂としているようだ。森林限界を超えているので展望はいいがまだ真っ暗闇なので何も見えない。登山者のものだろうか、谷を挟んで南に見えている八方尾根に動く光が見えた。

 いくつかの小ピークを越えて登り切ったピークが小蓮華山。まだ真っ暗で無人であるが白馬岳山頂に光が見えている。まだ日の出まで30分くらいあるが、もしかしたら朝日岳方面への縦走だろうか。小蓮華山から白馬岳間の稜線には光は見えない。その代わりに日本海側に町明かりが見えていて、近い場所は入善か黒部付近、遠い明かりは富山市街地だろう。

 小蓮華山から下っていくと地面の色が茶色から白にはっきりと変わる境界があるが、地質的にどんな意味があるのかは私には分からない。火山に関係するのだろうか。もったいないことに三国境手前の2620m鞍部まで標高差約120mを下らされ、往復で考えれば標高差240mを余分に登らされる。蓮華温泉の標高は約1460mで猿倉の1230mより230mほど高いが、この鞍部の存在で白馬岳までの往復の累積標高差は同じになってしまう。ついでに言えば蓮華温泉からのコースの方が距離が長いので、単に白馬岳山頂を踏むだけなら大雪渓コースの方が効率的だ。

 往路はまだ薄暗い時刻で周囲に人がいないので、久しぶりに登山道の無い三国境の山頂へ立ち寄ってみることに。ここに登ったのは2000年8月なのでもう20年以上前のことであり、当時の記憶はほぼ無し。残っているのはガスって何も見えなかったことくらいだ。

 上りの途中で左手のザレた斜面に突入。見た目では足元が非常に不安定そうに見えたが思ったよりもしっかりして崩れることはなかった。ハイマツも生えていないので藪に突入することなく容易に歩ける。植生皆無かと思ったらたま〜にコマクサが生えていた。逆に言えばコマクサしか生えられないような石ころだらけの厳しい環境である。

 傾斜が緩むとケルンが登場し、ここが三国境山頂である。顕著なピークではなく山頂部は平坦で、ケルンより南側が真の最高点であった。立木は皆無なので展望は良いが、白馬岳が目の前なので南側の展望は大きく制限される。

 下りは稜線沿いではなく登山道目指して西へ。冬道だろうか、意外にも石ころの上に踏跡が続いていた。最後はハイマツを越えて登山道に合流した。

 ここから山頂まではお花畑で花を探しながら歩く。イワツメクサ、タカネツメクサ、ホソバツメクサ、クモマミミナグサ、ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマコウゾリナ、ウサギギク、ミヤマアズマギク、ヨツバシオガマ、タカネシオガマ等々、まだまだたくさんの花が咲いている。この中でもミヤマアズマギクは何故か大雪渓経由のコースでは登山道脇には見られない。

 この時期は午前5時前に日の出を迎え、妙高山のすぐ右から太陽が顔を出した。残念ながら空気の透明度はイマイチで志賀高原の山々さえほとんど見えないので、尾瀬や奥日光の山々は影も形も無かった。この頃になると栂池方面へ縦走すると思われる登山者とすれ違うようになる。

 登り切って白馬岳山頂に到着。今日も賑わっているが先週よりは人数は少ないようだ。東側の空気の透明度は悪いが南側はそれほどではなく、八ヶ岳、富士山、南アルプスが見えていた。反対方向の富山湾の能登半島は見えなかったが海岸線は見ることができた。前回は山頂で休憩無しで下ったが今回は20分ほど展望を楽しんでから下山した。

 帰りは花を探しながら。先週見かけたムシトリスミレを登りでは発見できなかったので、下りでじっくりと探したら1輪だけしかなかった。もう花が終わりで散ってしまったようだ。シコタンソウも散る間際で、他の真夏の花はピークを過ぎていて来週にはかなり数を減らしているだろう。今年は雪解けが早く開花も早かったので仕方ない。

 往路は白馬岳山頂付近以外はずっと無人であったが、帰りは栂池方面へ向かう人、逆に栂池方面から白馬岳に登る人と両方向からの登山者で賑わっていた。三国境から朝日岳方面へ向かう人の姿は無かったが、ルートの長さからしてそれも当然だろう。

 三国境付近ではコマクサの他にチングルマも見られた。鞍部付近からは目立たないがミヤマコゴメグサ(だと思われる。コゴメグサは細かな種類に分かれていて正確に見分けるのが難しい)がたくさん見られる様になり、白馬大池付近まで断続的に続いていた。コゴメグサは背丈が非常に低く地面に張り付いた状態であり、花も小さいのでよ〜く見ないと花が咲いているのが分からないくらいだ。

 こちらのルートにもイワオウギの他にシロウマオウギ等が無いか探しながら歩いたが発見できず。代わりと言っては何だが、ミヤマリンドウでも青が濃い個体を見つけることができた。他にタカネセンブリが無いかも慎重に探したが発見できず。もしかしたら登山道脇には生えていないのかもしれない。ハクサンシャジンがなかなか現れなかったが、船越ノ頭が近付くとやっと登場。登山道から少し離れた場所にはタテヤマウツボグサを発見。

 小蓮華岳を越えて緩やかな稜線を下っていく。右手下には白馬大雪渓が見えており、雪渓に突き出した砂州のような砂礫の地形に向かって登っていく登山者の姿が見えた。また、白馬尻の人の姿も。樹林が開けた場所からは小蓮華山〜白馬岳にかけても稜線が見えていたので逆もまたしかり。

 腹が減ったので船越ノ頭の標識がある2612m峰で休憩してパンを齧った。ここは展望がいいピークなので登り/下りとも休憩する姿が見られて賑わっていた。白馬岳の主稜線には少ないながら雲が絡むようになり、これから徐々にガスが出てくるのかもしれない。

 白馬大池への下りの途中の砂礫帯ではコマクサを発見。このコースは意外とコマクサが見られる。雪は全く見られないが咲き残ったミヤマダイコンソウがあったのには少々驚き。

 白馬大池脇に到着すると大お花畑が広がる。チングルマが主要メンバーだがほとんど花は終わってしまい、イワイチョウもほぼおしまい。僅かに咲き残ったイワイチョウを探して写真撮影。私が良く登る山ではイワイチョウは全く見られず、ここでしか見ることができない。イワイチョウは湿った場所、主に池や湿地に生えているため、稜線で見られないのは仕方ない。

 チングルマのお花畑に埋もれて目立たない存在だが、タテヤマリンドウが大量に咲いていた。これほど大量のタテヤマリンドウが見られるのは、私が知り限りここだけである。近縁種のミヤマリンドウがこれと同等に大量に見られる場所は知らない。タテヤマリンドウは花の中心のソバカス状の斑点があるのが特徴だ。稜線のチングルマの中にはミヤマリンドウがあったがタテヤマリンドウは皆無で、逆に白馬大池周辺ではミヤマリンドウは皆無で住分けられていた。

 白馬大池から蓮華温泉方面へ下山開始。すぐにチングルマの草原が終わって短いハイマツ帯を過ぎると、ダケカンバ樹林からシラビソ樹林へと移り変わっていくと同時に稜線で見た種類の花は終わってミヤマアキノキリンソウやズダヤクシュ、コバノイチヤクソウに切り替わる。コバノイチヤクソウは亜高山帯の針葉樹林に生えるとされるが、ここではまさにその通りで標高が落ちて落葉樹林帯に入ると同時に姿を見なくなった。近縁種であるベニバナイチヤクソウは6月に咲くので開花時期がかなり異なる。

 天狗の庭では休憩している登山者の姿あり。でもここが周囲と植生が全く異なって稜線上と同じ花が見られる特異な場所だとは知っていないだろう。こちらは花を探しては写真を撮影しまくった。ここではヒメシャジンが主役であった。ハクサンシャジンより花が大きくソバナに似ているが葉っぱの形状がソバナとは異なる。

 再びシラビソ樹林に入ると苔生した地面に非常に小さな花を発見。これに似た種類の花は思い浮かばず分類上どの種になるのか全く分からなかったが、ネットの画像検索でアリドオシランと判明。ラン科だとは思わなかった。

 さらに下っていくとミヤマカラマツ、ソバナが見られる様になり、1箇所だけまとまってカニコウモリが花を付けていた。今年初のカニコウモリである。カニコウモリは蝶ヶ岳の三股コースや常念岳の一ノ沢コースで見られるが、今年は開花時期にこれらのコースをまだ歩いていない。さらに下るとアジサイ、ヤマハッカ、オオカメノキ、タマガワホトトギスなどが見られた。

 登山口近くで見つけたキソチドリの花が白くなったような花は見たことがなく、帰宅後に画像検索した結果、オオヤマサギソウらしいことが判明。まだまだ知らない花がたくさんある。

 蓮華温泉裏の登山口まで戻ると付近の案内図登場。下山時に見えた立木どころか草も皆無の火山ガスの噴気帯と露天風呂の場所、それらを繋ぐ道が描かれていた。

 蓮華温泉は山奥の一軒家で電気も通っていないので自家発電機のエンジン音が聞こえている。しかしこんな人里離れた山奥に温泉を発見できたものだ。しかもここまで道路を作ってしまうとは。でも豪雪地帯で除雪が困難であり雪崩のリスクもあり、車道開通は6月下旬が普通である。

 駐車場に到着すると満車。いい場所に駐車したので車は日陰のままで中は涼しかった。車で着替えているとやってくる車があったが、満車なのでUターンして川を渡った先の駐車余地に止めていた。この週末はまだ車が少ない方で、多い時には路肩に駐車された車がずらりと並んでいることも。蓮華温泉は駐車スペースが狭いのであった。

 

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